家づくりのすゝめ 手順4

運命の「土地」を見つけよう

手順3.で、自分たちの用意できそうな金額の「最大値」の目星がつきました。

ここで、ようやく具体的な「お買い物」の検討に入ります。

まぁちゃん

注文住宅の場合って、土地も家も決まってないから、どっちから手をつけていいのかわからないわ…

検討の順番ですが、「土地」が先か、「家(建築会社選び)」が先か、「同時並行」か選択が分かれるところですが、個人的には、私たち家族が選んだやり方「土地から先に検討する」をお勧めします。

理由は、ズバリ「価格」です。

ゆきぼう

具体的な検討に入る前に、これからの家づくりにかかる主な費用をまとめてみたよ。

家づくりで必要になる主な費用

・土地取得費用※1
・家屋建築費用
・外構費用※2
・新調する家具、家電
・引越し費用
・その他諸経費

※1 元々親が所有していた土地に建てる等であれば不要。また、古家が建っている土地を購入した場合は、解体費用がかかる場合もある
※2 建築会社経由でお願いすることも可能

上記の中で、価格のウェイトが大きいのは、「土地」と「家」であることはご存じのとおりですが、特に、東京など都市部で家づくりを始める際に、最も金額で差がつきやすいのが「土地」なのです。

一方、地方で家づくりを検討中の方の場合、「家(建築会社選び)」で一番差がつきますその場合は、取得したい地価(土地の価格)の相場を把握したうえで、建築会社の選定から先に始めたほうがよいかもしれません。

土地選びの手順は、次のような流れになります。

  • 住みたい土地の「条件」を定める
  • ❶の条件でネット検索する
  • 土地費用の概算を把握する
  • 業者に具体的な相談をする
  • 現地を確認する
  • 購入意思を伝える
  • 契約
STEP
住みたい土地の「条件」を定める

「エリア・沿線」「敷地面積」「駅距離」「家の向き(道路の方角)」「角地」など

まぁちゃん

「家族の理想」でまとめたものが役に立つね。

条件を決める際に、下の土地の種類についても確認してみましょう。

いろいろな種類の土地

❶土地の用途・・・地目
法務局の不動産登記簿に定められた、土地の用途のこと。地目が「宅地」であれば、建物を建てる用途の土地ということで問題ないが、地目が「畑」や「田」などの場合、現在または昔に、そのような使われ方をしていた土地であるということ。この場合、「農地転用」といった手続きが必要になる他、特に田んぼだったところなどは、水分を多く含む土地で、地盤も柔らかいため、土地改良工事が必要な場合もある。

❷建物の用途・・・①用途地域 ②防火/準防火/非防火地域
建物についても、良好な市街地形成のために、使われ方の指定や建築の際の条件が決められている。

①「用途地域」 都市計画法により13の区分に定められている。例えば、よく耳にする「第一種低層住居専用地域」であれば、低層住宅(2階建てまで)を中心に建てるべきエリアということになり、3階建の家や大型店舗は建てられない、といった建築上の縛りがある。

②「防火/準防火/非防火地域 市街地の火災の延焼を防ぐために、建物の構造が規制されている地域のこと。防火地域や準防火地域に家を建てる際は、外壁や窓(サッシ)、シャッター等を防火仕様にする必要があるため、その分建築コストが上乗せになる。駅周辺の開発されたエリアに多い。そのような規制のない地域が「非防火地域」となり、防火仕様等の規制はかからない。

❸建物の大きさ・・・①建蔽率 ②容積率
家を建てる際に、自分の土地に対してどのぐらいの割合の大きさまで家を建てられるかが「建蔽率(真上から見た時、住宅として建てられる部分の割合)」「容積率(自分の土地に対して、住宅として建てられる床部分の広さの割合)」として決められており、通常、インターネット検索の際の物件情報にも記載されている。

計算方法

建蔽率(%) = 建築面積(真上から見たときの家部分の面積)÷ 土地の敷地面積 ✕ 100

容積率(%) = 延床面積(全ての階の床面積の合計※)÷ 土地の敷地面積 ✕ 100
※天井が140cm未満の部分は床面積算定されない等の条件あり

STEP
STEP1の条件でネット検索する

情報量や物件数から考えると、「SUUMO]と「アットホーム」の2強での検索がお薦め。
どちらか一方しか掲載のない場合もある。

ネットの条件検索機能で、自分たちの理想に近い土地の一括検索が可能になる。

土地の販売形態
土地には、すぐに建築可能な「更地(何も建物が建っていない状態の土地)」と「古い家が残り、解体工事が必要な土地(インターネット上は『古家あり』などと表示)がある。
古家のある土地は、家の解体費用(一般的には100〜300万円ほど。木造か鉄筋コンクリートなど家の構造によっても変わる)が別途発生する場合があるため、確認が必要。
更地の土地でも、広い土地を複数の区画に分けて販売する「分譲販売」の土地もあれば、所有者が亡くなられた後、家を取り壊し、更地化して販売している土地もある。分譲地の場合は、角地や南面道路の土地など、好みの条件の物件を見つけやすいが、そういった「人気物件」は、購入希望者も多く、早めに売約済となってしまうことも多い。

まぁちゃん

人気物件はスピード勝負ね。

ゆきぼう

下のSTEP4で、自分たちの希望の条件を伝え、早めに押さえてもらおう。

建築条件つき土地
建築条件つき土地とは、「決められた建築会社に依頼して家を建てる」等の契約条件がついた土地のことです。
【メリット】
・土地と建物のセット購入により、コストを抑えられる
【デメリット】
・建築会社が決まっており、変更できない
・大抵の場合、土地購入から3か月以内に間取りや設備など全ての仕様を決めなければならない
・仕様があらかた決まっており、その条件に沿った家しか建てられない

ゆきぼう

「条件つき」と記載されているだけあって、縛りが多いのが建築条件つき土地。契約前に、「できること」「できないこと」を確認しておいたほうがいいね。

まぁちゃん

私たちは建築条件のない土地を購入して注文住宅を建てたけど、2024年5月末に契約して、仕様が固まったのが11月初旬で、、その間にも、決めることいろいろあったから・・・。
3か月は、けっこう短めかも・・・

売主物件
売主物件とは、所有者が土地開発などを行う事業者であり、不動産会社を経由せず直接買い手と契約を結ぶことができる物件のこと。「売り手」と「買い手」の間に、不動産会社の「仲介手数料」が発生しないので、その分、費用が抑えられる。
※仲介手数料は、土地購入費用の「3%+6万円」が一般的

STEP
土地費用の概算を把握する

検索でヒットした条件の結果から、探していた土地の概算をはじき出す。これによって、家屋に充てられる費用の見当がつけやすくなる。

ゆきぼう

家屋費用の見当がつけられれば、ここから同時並行で建築会社を探し始めることも可能だよ。

まぁちゃん

家の費用の他に、引越し費用や、新調する家具、家電にかかるお金もしっかり見積もっておかないとね。

STEP
業者に具体的な相談をする
ゆきぼう

重視するポイントの違いで、下の❶、❷のどちらかに相談をするとよいと思うよ。

  • 【条件のよい土地をいち早く押さえたい】 
    ⇒住みたい地域の有力不動産仲介業者に相談する
  • 【少しでもお得に土地購入したい】 
    ⇒家(ハウスメーカー)選びもスタートさせ、そこの不動産部門に探してもらう
まぁちゃん

❶も❷の場合も、その業者のネットワークで未公開土地情報※を持っていることがあるよ。少しでも、自分たちの理想にあった土地探しをしたい場合はお薦め。
※未公開土地…大手デベロッパーが手掛ける分譲地で、業者の登録会員宛に一定期間限定公開された後、SUUMOなどでの一般公開に切り替え販売される土地。登録会員は、未登録会員に比べ、好条件の土地情報を得やすい。

ゆきぼう

❷は、例の「売主物件」を仲介手数料なしで購入するのにお薦めできる。探している地域付近で、建売住宅分譲も手掛けているようなハウスメーカーは、未公開の売主物件をかかえている可能性もあるので狙い目だね。
ただ、1点だけ気になることがあって…❷の場合で土地を選んだら、物件を紹介したハウスメーカーに家づくりをお願いしなきゃならないこと。

まぁちゃん

ホントだー。
囲い込みね。

ゆきぼう

家づくりの実力を問う(提案をもらう)前に、ハウスメーカーを決めないといけないことになる。
そのような理由もあって、僕たちは❶で土地探しを行ったよ。

STEP
現地を確認する

「これだ」という土地がだいぶ絞れてきたら、現地を見に行こう。

STEP4の❶、❷どちらの場合も、業者から現地案内の申し出があるはず。

しかし、現地確認は、まず自分たちだけで行くことをお薦めする。

まぁちゃん

不動産業界の方は、契約に対しての推しが強くて、勧められると断りにくいときがあるからね・・(汗)。
一度、冷静に自分たちの目で吟味してから、気に入ったところを案内してもらうのがいいと思う。

ゆきぼう

「今日決めないと他に取られちゃいますよ」みたいなことは、よく言われます(苦笑)。
決して「勢い」で即決せず、現地確認をしてからにしよう。

マイナス要因を徹底検証しよう

ネット情報及び現地の情報から、その土地のプラス部分だけではなく、マイナス要因もしっかり検証しよう。マイナス要因については、「家族の理想」の収集段階では、見えてこないことが多い。

【検証項目例】

・線路沿いの土地であるが問題ないか(騒音・振動の問題)
・旗竿地であるが問題ないか(駐車スペースの問題)
・前面道路がせまい問題ないか(駐車の際の車庫入れ)
・近くに墓地があるが問題ないか(心理的なもの)
・高圧電線がすぐ近くにあるが問題ないか(電磁波による健康への影響)
・水はけが悪いが問題ないか(大雨時の浸水や建物の腐朽に対するリスク)
・土砂災害警戒区域にあるが問題ないか(崖地に多く、地盤改良や擁壁など

 金額追加される可能性有)
・古家の解体費用が高くつくが問題ないか(古家がある場合)
・特定施設の隣地の場合、それを許容できるか(学校、公園、幼稚園、

 スーパー、宗教施設など)

ゆきぼう

ちなみに、上記以外で、マイナスにもプラスにも働くのが、「隣人はどんな方なのか」。
ただ、こればかりは、事前に調べるにも限界があるからね(^_^;)
隣家が既に建っている場合は、雰囲気などで何かを感じとって…

まぁちゃん

『何かを感じとる』??
どうやって?笑

STEP
購入意思を伝える

土地選びは1つの「ご縁」。気に入った土地があれば、早めに押さえよう。
(条件のよい土地はすぐ買い手がつく傾向にある)

値引き交渉について

土地について、値引き交渉はすべきです。

その理由は、「土地は、どの業者から購入したとしても、品質は変わらないから」です。

iphoneを家電量販店A社、B社、C社で販売していたとき、どこで買っても品質が変わることはないので、A社が最安だとしたら、A社で買うでしょう。土地も同様です。品質が変わることがないので、少しでも安く購入して、家の費用等に回せるようにしたほうが、満足のいく家づくりができますよ。

ゆきぼう

僕も、土地取得に関しては、販売価格の10%値引きを目標に交渉させてもらいました。
但し、その土地の人気度や売主によっても値引きのさじ加減は変わってきます。

まぁちゃん

場合によっては、値引きせず即購入が望ましい場合もあるし…

ゆきぼう

値引き交渉についても、相談があれば乗りますので、ご連絡ください♫

STEP
契約

諸々の条件を確認し、問題がないようであれば本契約となる。

土地購入に先立ち、住宅ローン借入が必要な場合、金融機関のローン審査がある。資金計画にておおよその土地購入のために必要なローン融資額を計算したうえで、融資に臨もう。

つなぎ融資が必要な場合も・・・
手順3「お金」の章でもふれたが、住宅ローンを取り扱う金融機関によっては、「住宅ローン」という定義上、家屋が完成するまでの間はローン融資ができないところもある。この場合、土地取得にかかる費用は、自前で準備するか、「住宅ローンではないローン」を組んで、支払う必要がある。このローン融資のことを「つなぎ融資」という。つなぎ融資はローン利率が高いため、できれば、土地取得時から住宅ローンとしての融資が可能な金融機関を選択したほうが、余計な出費を抑えられる。

土地選びには、妥協も必要

条件のよい土地や、大都市部にある土地は高値で取引されます。狙いの土地が定まったものの、家屋にかけられる費用があまりに少ないようですと、満足する家づくりから遠ざかってしまいます。

特に、土地は価格差がつきやすいところですので、家づくりの優先順位とにらめっこしながら、状況によっては、ある程度の妥協も必要ではないかと考えます。

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